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「その気持ちだけでじゅうぶん嬉しいわ」
「気持ちだけじゃだめ。モタはちゃんとプレゼントをあげておばあちゃんに喜んでもらいたいの」
モタがそう言って頬を膨らますと、おばあちゃんは「あらあら」とまた笑いました。パパも少しだけ笑っています。おばあちゃんは少し考えるように天井を見上げました。
「そうね。考えておくから今日はもうおやすみ」
「うん。おやすみ」
モタはパパとおばあちゃんの頬にキスをしてリビングを出ました。廊下に立って閉めたドアにそっと耳を近づけます。少しの間の後、パパとおばあちゃんの話す声が聞こえました。
「やっぱりあの子には無理だよ」
「でも今出て行かないと一生ここで暮らすことになるわ」
「それでいいじゃないか」
「私もあなたもあの子より先に死んでしまうのよ。そしたら誰が守るの?」
「それは」
「体が小さいうちの方が見つからずに済むわ。助けてくれるあてもあるのよ」
なんだか難しい話をしているようです。モタはあくびをしながらドアを離れました。もうすぐ夜の9時です。おやすみ、魔物があらわれる前に。
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