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con anima(生き生きと)
ダンプシティに人が住みつかなくなったのは、もう随分と昔の事だ。潤いの町なんて謳い文句は綺麗だが、年間の三分の二は雨もしくは曇りという悪天候ぶりに加え、都市部から離れたところに位置しているこの土地は、お世辞にも住みやすいとは言えない。排水設備が無駄に発展した陰気な町よりも、太陽に恋焦がれるのは至極当然の事だった。しかし人は、誰からも必要とされなくなった町の使い道を一つ見出した。故障して使い物にならなくなったロボットを廃棄する場所としての使い道だ。廃棄するのにも金の要るロボットたちを処分したい人にとって、世間に見捨てられた町は都合が良かった。雨と鉄の山の掃き溜め。必要とされない者たちの町。そんな町でも音楽だけは流れるらしかった。
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