1/1
28人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ

刻々と流れゆく日々。変わらない日常。 物心ついたときから今まで、どこか現実であって現実ではないような日々に、俺は違和感を感じていた。 理由はわかっている。 昔から見続けている夢のせいだ。 夢の中の俺はどこかの騎士で、剣や魔法を使い魔物みたいなモノと戦っていた。 いつ死んでもおかしくない命をかけた戦いと、友とのくだらない雑談や鍛練の繰り返しの日々。 その夢は現実と同じように、五感や感情を感じることができ、時々夢と現実の境がわからなくなることがあった。 夢を見始めたのが小学校5年ぐらいで、俺が一番酷かった時期。 訳のわからない言葉で、叫ぶ、怒る、泣く。子供らしくない思考や行動をする子供。 誰でもそんな子供がいたら気味が悪くて、嫌で避けるだろう。はっきり言って俺も嫌だ。 そんな俺を両親は少しだが心配してくれ、精神科に連れていってくれた。だが、原因はわからず。 困った両親は俺を気味が悪いと謙忌し放置。 中学1年生の頃には、元々不仲だった両親が離婚し、金だけ渡され一人暮らし状態となった。 中学に入ってからは、現実と夢の境がわかるようになり、だいぶ落ち着いたが、相変わらず夢は見続けた。 もう、限界だった。 夢を見ないように、寝ずにゲームしたり、本を読んだりする日々。 そんな日々を送っていれば、常に目の下にクマができ、更に精神もおかしくなるわけで……。 お陰で『頭がヤバイ中二病』と学校のヤツらから呼ばれるようになった。 「あー、思い出した……」 目の前にキラキラした老若男女数名、鎧をきた人達に黒いロープを被っている人達、その他もろもろ。まるで王道小説やゲームのRPGのような王様や貴族、騎士や魔術師のようだ。 そして、壁に掛かっている、ライオンが丸いボールに片足を乗せた旗を見て俺は思い出した。 今まで見てきた夢は、俺の前世だということを……。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!