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ぐぅぅぅぅと空気を読まないお腹が鳴り、ぷはっとアークが笑う。 「悪い、お腹空いたよな。朝飯出来てるから一緒に食べようぜ」 ベッドから離れ数歩、何かを思い出したかのように、アークが振り返る。 「……なぁ、ジン。お節介だけど、これだけ言っとく。俺は父親が生きてる可能性があるなら、母親の言葉を伝えた方がいいと思う。母親の為じゃなく自分の為にな。どうせ今後悔してるんだろ?それなら、今支配されている後悔という傷を少しでも軽くして人生を送った方がいいと思わないか?」 ニヤッと笑うアークに、確かにと思い微笑する。 「……そう、だね。考えてみる」 「おぅ」 「へー、楽しそうですね」 「あぁ、なかなか面白いし、楽しいぞ」 アークと一緒に朝御飯を食べながら、5日間もある騎士祭の話を聞いていた。 騎士祭は、8年前バクススタンピードで戦った騎士達や亡くなった騎士達に感謝する祭りで、毎年お墓には感謝の気持ちをこめて花を供えるので、色とりどりの花が溢れ返っているそうだ。そして、騎士祭目玉である各騎士団の代表が競い合う試合があるらしい。 スケジュールは大体毎年決まっていて、初日はパレード、2・3日目は魔物退治、4日目は城で各団の代表が戦う試合、5日目は倒した魔物を料理して食すとか。 ……これ、本当に感謝祭か?ただ飯食って飲んで騒ぎたいだけの気がするが……。 「そうそう、最後の騎士灯は綺麗だぞ」 「騎士灯?」 「あぁ、亡くなった騎士達に贈る言葉や願い事を袋型の薄紙に書いて、自分の魔力を中に入れて飛ばすんだ。色々な色が夜空に浮かんで幻想的だぞ」 「それは是非、見てみたいです」 想像しながらどんなものだろうと考えていると、どうやら俺は笑っていたらしい。それに気付いたアークがふっと優しく笑う。 「ジン、時間が合えば一緒に見に行くか」 「いいの?時間ある?」 「あぁ、見回りがてらでもいいか?」 「もちろん!最後の日ギルドに行けばいい?」 「ん?」 「それとも、どこかで待ち合わせがいい?」 「ここから一緒に行けばいいだろ?」 話が繋がらない。 頭にハテナマークを浮かべつつ、首を傾げると、アークが、「あぁ!そう言うことか!」と何かに気付いたように声を上げた。 「ジン、言い忘れていたが、気が済むまでここに住んでいいからな。どうせ部屋は空いてるんだ」 「えっ、でも……」 「遠慮はいらん。昨日言っただろう。俺の善意だってな」 「……」 返事をしない俺にアークはポリポリと頭をかく。 「まぁ、気になるよな。そうだな……料理や掃除はできるか?」 「……少しなら」 独り暮らしをしてたから、少しはできる。前世でもしてたから問題はない……はず。 「そうか。じゃぁ、少しでいいから家事を手伝ってくれるか?それでチャラでどうだ?」 少しの家事で宿泊代が浮く……金の節約にもなるな。それに、またアークと一緒に暮らせるなんて……断る理由がない。 「アークさん、お言葉に甘えて、お世話になります!」 「あぁ!よろしく」 頭を下げ3秒後、頭を上げるとアークが嬉しそうに笑っているのを見て、胸がふんわり暖かくなった。
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