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「……人、多いなぁ」 あの後依頼を受けようとギルドへと向かった。 アークの家から冒険者ギルドまで歩いて数秒、というか、同じ建物の中。正確に言うのであれば、ギルドの建物と隣の5階建ての建物を改装し繋げたのである。繋がっているのは1階と4階。ちなみに外には2階に上がれる階段があるので俺はそちらを使って降りてきた。 1階は食事処兼バーがあり、2階は物置小屋、3階は客室3部屋とイーダの部屋、4階はアークの自室、5階はアーク個人の秘蔵室となっている。 やっと、依頼掲示板までたどり着き、Zランクを見る。 屋根の修理、猫探し、薬草依頼……よし、今日は薬草依頼を受けよう。 依頼書を受理してもらい、注意事項を聞くと、ギルドを出た。 ギルドから出た瞬間、たくさんの花びらと歓声が俺を襲い震えた。 「うわー、すご」 騎士様ー、かっこいいー、きゃー、うおぉぉぉー、などの声に圧倒されながら、人々の視線の先を見ると馬に股がった騎士達がいた。軽装のブルー鎧とマントを着ている。 「ブルーということは、リリールの第4騎士団か」 この国メルゾーラには、メルゾーラ城がある中央都市バクス、海沿いの西都市リリール、山沿いの東都市シーカーの三大都市がある。 メルゾーラには5つの騎士団と各カラーがあり、第1が王族を守る騎士団でホワイトカラー、第2がメルゾーラ城を守る騎士団でブラックカラー、第3がバクスを守る騎士団でレッドカラー、第4がリリールを守る騎士団でブルーカラー、第5がシーカーを守る騎士団でグリーンカラーに分かれている。 「バルいるかな……」 俺、前世の親友であるバルトが現在第3騎士団長だとアークの話しを聞いて知った。なので今日一目でも見れるかもと期待していた。 「見えないな……」 俺の身長が低い、もとい周りの人が大きい為よく見えない。俺は台になるものがないかキョロキョロと見渡し、ちょうど良さそうなブロック屏を見つけ、よじ登った。 「あっ……いた……」 炎のように赤い短髪に透き通った赤瞳。よく笑う青年だったが、今はどうだろう。歳をとったと言うよりも大人の男性になったかな。イケメンでカッコいいのは前からだが、ちょっと仏頂面過ぎないか。他の騎士は笑って手を振っているのにバルトは無表情のまま真っ直ぐ見ている。
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