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あれから、アークからアーガンを紹介された後、3人で晩御飯を食べに行こうとなり、ちょっと高めのレストランに連れて行かれた。
個室に通され、アークとアーガンがメニューを決めていく。俺はよくわからないから2人にお任せ。
料理も届き食べようとナイフとフォークを手に取った。
うーん、ナイフとフォークが大きすぎて、力が入らずうまく切れない。
ぎこちなくナイフを使って切っていると、アーガンが肉を切らずフォークにぶっ刺しかぶりついた。
おぅ、豪快だなと、見ていると全てをのみ込んだアーガンがニカッと俺に向かって笑う。
「ジン、マナーは気にしなくていいぞ」
「アホ兄貴。マナー以前の問題だ。ジンの小さな口でそんなもん食えるか」
アークはそう言うと、俺の前に小さく切った肉の乗せた皿が置かれた。
「俺のと交換な」
どうやら、俺のぎこちないナイフ使いを見て、肉を小さく切ってくれたらしい。
アークパパ、イクメン。優しい。
「ありがとう、アークさん」
お礼を言って一口サイズに切られた肉を食べる。
「うまっ!」
テーブルに置かれた料理をアレもコレもとモグモグ、うまーいを繰り返し食べていると、2人ともこちらを見ながら満足そうに微笑んでいた。ちょっと食べづらい。
「えっと、2人とも何?」
「何でもないぞ。いっぱい食べて大きくなれ」
「ジン、ほら、これは魔力が豊富で大きくなれる」
「おっ、それならこの肉の方が魔力が多いから、おすすめだ」
アーガン、アークの順に言われ、目の前のお皿に次々と料理が盛られていく。
「ちょっ、ストップ!もう無理!食べれないから!」
俺の声でピタリと止まり、アーガンが、嘘だろ……みたいな表情でこちらを見る。
「えっ、もう無理って、まさかお腹いっぱいってことじゃないよな?」
「ジン、もう少し食べようか?」
アークからは心配そうに言われた。
「無理!こんな、山盛り食べれるわけないだろうが!それに、こんだけ食べればお腹いっぱいどころか吐くわ!」
俺の言葉を聞いてアーガンは手で口を押さえながら驚愕する。
「嘘だろう……私の息子、5歳の子でさえもっと食べるぞ。……あぁ……だから大きく……」
「それは言ってやるな、兄貴」
「だから、俺が住んでた所はそれが普通!それに、食事の量は人それぞれだっつーの!」
デジャブ!さすが兄弟、言うこと似てんな!
だから、哀れな目でこっち見んな!
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