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「あっ、そうだった」 アークが何もない空中で操作をした後、アークの手に何かが落ちてきた。 「忘れないうちに渡しとく。家の鍵だ。開くのは2階玄関ドアと4階通路のドアだからな」 アークから鍵だと渡されたのは翼をモチーフにしたシンプルな銀の指輪だった。これを身に付けていればドアが開くらしい。 以前は鍵ではなく、一般的に使用されている魔法陣に魔力を登録した人だけ通れる鍵魔法だったのにどうしてだろう?何かあったのかな? 顔に出ていたのだろう、詳しく説明してくれた。 以前、魔力の強い人物達が無理やりこじ開けて侵入してきたらしい。しかも何度も。それ以降、特殊魔法の扉&特殊魔法の鍵を使った指輪で開けるようになったのだとか。アークが話している間、アーガンがそっぽを向いていた。 まさか、アーガン伯父さん……あり得る。 「……この指輪デカイね」 「その指輪は嵌めると指にあったサイズになるから邪魔にならない指につけるといい」 「うーん、アークさんはどの指?」 「左の薬指だ。一番邪魔にならないからな」 夜見の世界では結婚すると愛の証として左薬指に結婚指輪をつけるが、この世界に結婚指輪という概念はない。 じゃぁ、薬指にするか。 左手薬指に嵌めると一瞬温かくなり、あっという間にピッタリなサイズに変わった。 何だか指輪をつけなれてないからソワソワする。 指輪を見てニマニマしていると、アークと目があった。 「アークさん、お揃いだね」 照れながらそう言ってみたがちょっと恥ずかしくなり視線を外した瞬間、ガン!という大きな音と振動にビックリし視線を戻した。するとアークが机に伏せっていた。机に額をぶつけた状態で……。 「アーク、さん?」 「かわ……マジ……俺……ショ……いや……落ち着け……ブツブツ」 よく聞こえないし、たぶん意味不明なことを言っている。 アーク大丈夫か?と困惑していると、ガバリと後から抱きつかれた。 「ジン!可愛いすぎる!おじさん色々心配になるな。どうだ、私の子にならないか?衣食住の安全の保証付きだ。不自由な思いは絶対にさせない。お小遣いもたくさんやるぞ」 俺の頭に頬をくっつけてスリスリするアーガン。 助けて!どうにかして!とアークを見るが……まだ復活してない。 「ちなみに、私も同じ指輪持ってるぞ。私が昔アークにプレゼントしたんだ。お揃いだな」 アーガンが指輪をつけた手を出してきたので確認する。 本当だ。あれ、これよく見ると翼の所に魔石が嵌めてある。火・水・風・土・光・闇の6つの魔石。……これ、高いやつだ。強い魔力が入ってる感じがする。感じるだけだから、自信ないけど……。 ふと、俺の指輪も気になったので確認してみると、全く同じだった。 「ジン、アクセに興味があるのか?なら今度もっといいものを買ってプレゼントしよう」 アーガンがニコニコと笑っている。これ以上いいものって……怖すぎる! 真顔で丁重にお断りした。
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