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うん、暇になった。 邪魔にならないように端っこで疲れた体を休ませることにした。 体が重たいし、眠い。……身体強化のせいだよなこれ。 フードをかぶって、木の下でうつらうつらしていると大勢の気配を感じ、目を開けて驚いた。 「レッドカラー……第3騎士団だ」 トクンと心臓が鳴る。 第3騎士団が10人ぐらいいる。きっとこの中にバルトがいる。逢いたい……けど、何だかちょっと怖い。 俯いたまま悶々としていると、アークの声が聞こえ反射的に顔を上げた。 「ジン!こっちに来てくれ」 アークに呼ばれ仕方なく重たい腰を上げる。アークの方へ歩いていくとその背後にいる人物を見て、ドクンと心臓が高鳴った。 ……あぁ、バルトだ。 今にもこぼれ落ちそうな涙を、カッと目を見開き目蓋を上げる。 「君が……俺は第3騎士団団長、バルト・ソルグールだ」 「……ジン、と言います」 俺はフードを深くかぶり握手を交わした。チラリとフードの隙間からバルトを見ると眉間に皺を寄せ俺を睨んでいた。 えっ、俺、何かした?何で、バルト怒ってるの? 俺に、逢いたく、なかった?折角、逢えたのに? 何?どうして?あんなに笑っていたのに、俺の事、嫌いになったの?俺は、ずっと、逢いたかったのに……。 バルトの冷たく鋭い視線と、前世でのバルトの満面の笑みがフラッシュバックし、脳内がパニック寸前に陥る。 あっ、ヤバイ……。 「……っ……ふ……うぅ……」 一気に涙腺が崩壊した。ポタポタと涙が足元に落ちていく。 「っ!」 いち早く涙に気付いたバルトが慌ててその場に膝を突き俺の顔を覗き込む。 「どうした?どうして泣いてる?どこか痛いのか?」 「えっ!そうなのか!ジン、どこが痛いんだ?」 アークも慌てて俺の顔を覗き込んだ。 バルト怒ってない?アークも? 2人の慌てた顔に安心して、更に涙が溢れ出していく。 「……怖、かった」 慌てたような、困ったような表情のバルトの首に思いっきりしがみついた。 一瞬固まった後、力強く、でも優しく抱き締め返してくれたバルトに涙が止まらない。 「っ……うぅ……」 「大丈夫だ」 ポンポンと優しく背中を叩き、後頭部を撫でるバルト。 あぁ、バルトの匂い、バルトの体温、バルトの大きな手……安心する……。 「あ……た。た……いま、ば……」 " 逢えた。ただいま、バル " 懐かしく温かいバルト腕の中で、そのまま夢の世界へと落ちていった。
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