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キキーキキー、キゥルルルー。
……なにかの声……いや、断言していい、魔物の鳴き声がする。うん、夜ではないが武器を持っていない奴がいていい場所ではない。
「相変わらず、ひどい国だな……」
異世界の一般人を召喚で巻き込んでおきながら、何も持たせず外に放り出す。死ねといっているものだ。
まぁ、どうせ、この国を出ていくつもりだったから、いいんだが。
なんにせよ、まずはここがどこなのかだ。
キョロキョロと見渡すがよくわからない。
RPGみたいにマップとか出てこないかな。転生者だし、もしかしたら……。ダメ元で口にしてみる。
「マップ、オープン」
キゥルルルルー。
響き渡る魔物の鳴き声。目を上下左右に動かすが何もない。
「……」
……だっ、だよねー。はい!出ませんでした!恥ずかしい!
仕方がないので風魔法の『空中移動』で上へと舞い上がる。
うわー、魔法使うの久しぶりすぎてソワソワするわ。
「んーと、あそこでいいかな」
ちょうど良さそうな崖を見つけそこに降り立ったが、一面の深い森林。どうみても町は無さそうだ。
そうだ!風魔法『結界・指瞬転移』を……いや、まだ記憶が曖昧だから失敗する可能性が高いよな。
「うわー、まじで、どうしよう……」
冷静になるためにちょっと魔法の説明をしようと思う。断じて、現実逃避ではない。うん。
『結界・指瞬転移』とは、移動させる人物を結界で囲こみ、自分が行ったことのある場所を思い浮かべることでその場所に転移する魔法だ。
前世での記憶は戻ったが、風景とか街の様子は微妙に思い出していないので、失敗すると違うところに飛ばされる可能性が高い。街並みも変わってるだろうし。
ちなみに、結界で囲まなければ転移しようとしている場所に、人や物があった場合、巻き込み巻き込まれ、怪我したり最悪死んだりする可能性があるので、危ない魔法だったりする。
そう言えば、危ない魔法と言えば、先ほど騎士に飛ばされた魔法『他弾転移』は、どこに飛ばされるかわからない危険な魔法だ。
俺、よく無事だったな……。
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