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学校に到着した隅野琴子(すみの ことこ)は真っ先に中庭に向かった。2年になって植物係になった琴子は中庭の花壇に毎朝水をあげるのが日課なのだ。
「あっ…咲いてる」
吸い寄せられた視線の先で昨日は確かに蕾だったチューリップが真っ赤に咲いていたのを発見し、自然と頬が緩む。
”花が咲いた”
それだけで、琴子の心は朝からパァッ…と明るくなっていった。
***
「じゃあ、漢字ドリル36ページの漢字をノートに書き写して提出して下さい」
1時限目の国語の授業の終わり際。影で”ハゲツルピッカ”と呼ばれている国語の担当 高橋先生が手に付いたチョークの粉をパンパンとはらいながらそんな指示を出した。
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