漢字ドリルのお礼を言いたい

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琴子の決意をくんでくれたのか、頷くように上下に揺れた人魂は説明を始めた。 「これから49日間。お前はこの世を彷徨う。勿論。生きている人間にはお前の姿は見えない。言葉も届かない。しかし死者にはチャンスがある」 「チャンス?」 「そうだ。”レボリューション”と唱えると、死者の姿を見せる事が出来る。勿論。言葉も届く。だからその間に、え、と……なんだ?ドリル?だっけか?その、工事道具の礼を言えばいい」 そっちのドリルじゃないし……。 琴子は内心そう思ったが、黙っておく事にした。てか…それよりも… 「れ…、レボリューション?」 「なんだ?不満か?」 「え、私これから‪”‬レボリューション‪”‬って言うんですか…」 「そうだが」 「誰が考えたんですか、それ」 「知らん。上の人間だ」 「死んでからも上下関係、ってあるんですね」
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