漢字ドリルのお礼を言いたい

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琴子はとっさに黒板の右側面にかかっているさすまたを掴んで、宮瀬くんの前に立つ。 こんな道具を自分が使う日が来るなんて…しかも自分を殺した相手に…! さすまたを手にする自分自身はすり抜ける感覚がなかった。思わず口角が上がる。 ちゃんとつかめた!すり抜けなかった……っ! この喜びを後ろにいる彼と分かち合いたい所だったがそんな事をしている暇は、ない。 迷う事なくさすまたを不審者の腹部に持っていく。 「ここか!出てこ……う‪”‬ッ……」 ちょうどいい感じに犯人の腹がさすまたの凹みにハマり、今すぐガッツポーズをしたい気分だったがそんな事をしている暇は、ない。 琴子は犯人の体を思いっきり廊下の壁に押し付ける。そして…… 「これこそが…!日本さすまた協会が推奨する!正しいさすまたの……っ、使い方​ーーーーーっ!」
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