漢字ドリルのお礼を言いたい

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意味の分からない言葉を必殺技の名称の如く叫んだ。 どうやら生前、魔法少女物のアニメを見過ぎたようだ。 それにしてももっと他にいい感じの叫びはなかったのだろうか。 まぁそれはさておき、こんな道具は初めて使った。力の加減が分からない。 とにかく宮瀬くんを助けたい一心で立ち向かったが流石に力を込めすぎてしまったようだ。 壁に押し付けた不審者はピクリとも動かなくなった。どうやら気絶したようだ。 火事場の馬鹿力的なものを知らないうちに琴子は発揮してしまっていたらしい。 「隅野……さん…っ?」 背後からそんな声が琴子の耳に届く。思わずガタン!と力いっぱい握っていたさすまたを地面に落とした。振り返ると、宮瀬くんが目をまん丸にして驚いた顔して、琴子を見ている。
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