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琴子の席は窓側の1番後ろ。つまり…右は壁。前は宮瀬響(みやせ ひびき)。左は空席なのだ。ここで琴子の中で2択が誕生した。
① 高橋先生に怒られる
② 宮瀬くんに貸してもらう
正直どっちも…どっちだった。特に②を想像して、無理だー…と思う。
手を伸ばせば届く距離にある男らしい宮瀬くんの背中を見つめて、琴子は無意識に首を横に振っていた。
だって、相手はあの宮瀬くんだ。
別に、宮瀬くんが意地悪だから、という理由では無い。むしろ宮瀬くんはみんなに優しくて、いつもキラキラしてて、誰とでも分け隔てなく話す事が出来る人。
だから自然と宮瀬くんの周りには人が集まる。
クラスの人気者で琴子にとって高嶺の花。
そもそも容姿がイケメン、というのも人気に拍車を掛けている。
そんな彼に…「漢字ドリル貸して」は引っ込み思案・コミュ障・陰キャの琴子に言えるはずがない。
と、その時だった───
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