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琴子の頭は未だに混乱の渦中をさまよっていた。だけど”響”という声に顔を上げると、そこには腕なんて怪我していない、いつも通りの宮瀬くんが居た。
友達と共に教室から…出ていってしまう所だ。
…言わなきゃ!
琴子はガタン!と椅子を引き、宮瀬くんの背中に向かって叫ぶ。
「あ…っ、あの!みっ…、宮瀬…くんっ!」
勇気を振り絞って出した出した声は無事。宮瀬くんに届いてくれたみたいだ。
「ん?」
くるりと向きを変えて、琴子を見つめる宮瀬くん。彼は軽く首を傾げて琴子の言葉をじっと待っていた。
「さっき…っ、その…………」
声が震える。尋常じゃないくらい。
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