漢字ドリルのお礼を言いたい

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大勝負と言わんばかりに今今陰キャの底力が発揮されようとしていた。 助走をつけるかのように、目をつぶり、大きく、大きく、息を吸う。 「漢字ドリル…貸してくれて……っ、、 ありがとう………!!」 教室中に響き渡るほどの声量で尚且つ、深々と頭を下げた琴子は自分でも自分の声量に少しびっくりした。 シーンと静まり返る教室。至る所からクラスメイトの視線の攻撃が始まる。 一瞬にして注目の的になった。 だけど…、それでも構わない。 何も言えないまま、言いたいことを言えぬまま、死ぬなんて……後悔するなんて……、 嫌だから…。 嫌‪”‬だった‪”‬から……。
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