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いつの間にか体をひねり、振り返って琴子を見ていたらしい宮瀬くんと目が合った。
「忘れたのー?」
意地悪そうに琴子を見つめる宮瀬くんが口元に手をやり、小声でそう囁いた。
ば、バレてる…。
琴子は視線を彷徨わせながら白状するように恐る恐る頷いた。すると…
「はい」
「え…っ」
なんと……宮瀬くんが琴子の机にこっそりと漢字ドリルを置いたのだ。
【名前】の所には、男の子らしいいびつな字で【宮瀬 響】と書かれている。
「俺、もうやったから。どーぞ」
それだけ琴子に伝えた宮瀬くんは体の向きをくるり、と変え、また前を向いてしまった。
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