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そうして時間はあっという間に過ぎ…
「はーい、じゃあホームルーム終わりまーす、あっ、今朝も言ったが、くれぐれも不審者にだけは注意しろよー最近この辺で目撃されてるからなー」
結局。
お礼を言えないまま……1日が終わってしまった。
弓道部の宮瀬くんはホームルームが終わると本当に素早く教室から出ていってしまった。
ガックリと肩を落とした琴子はガッツリ帰宅部なので、さっさと帰り支度を済ませ、帰路についた。
アスファルトに映る自分の影が琴子の胸の内を投影しているかのようになんだかモヤモヤと動いていた。
明日こそ…言わなきゃ……。
自分に言い聞かせるようにそう決意し、カバンを握る手を強めたその時、グサッ…!と横腹に鋭い刃物がのめり込んでいく感覚と激痛に顔を歪めた琴子は近くの電柱に身を委ねた。
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