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「やっと起きたか」
そこは見渡す限り真っ暗な空間。
だけど目の前に青白い炎がポゥッ、と浮かんでこちらを見ていた。空中で優雅にユラユラとしている。
これ、人魂……?
まるで催眠術にでも掛かったかのように琴子の手は人魂に伸びていく。
そして……指先が微かに触れた時だ。
横腹の痛みと自分が刺された事を思い出し、慌てて手を引っ込めた。
あれ…私、そういえば、生きて…る?
なんかこの空間…死後の世界…みたいな…、そんな感じが、する気が…。
琴子は縋るように人魂を見つめた。そして尋ねる。
「私…死んだの…………?」
すると、人魂はよく出来ました、と言わんばかりに満足そうに上下に揺らめき、「正解」と返した。
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