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鏡に映る
鳥の囀りで目が覚めて、エミリーはのそのそと毛布から顔を出した。
窓から入る陽の光が眩しい。目をこすって欠伸をひとつ漏らし、ベッドから体を起こす。
まだ少しぼんやりとした視界に、見慣れた自分の部屋が映る。
──今日は何曜日だったっけ。
エミリーはベッドを降りて、裸足のままクローゼットへ向かった。
いつもの白いシャツとベスト、丈の長いスカートに着替えて、最後にお気に入りのブーツを履く。
それから壁に掛かった鏡の前に立って、寝癖のついた長い髪を櫛で軽く整えた。
切る理由も伸ばし続ける理由も特に無い中途半端な長さの髪を鏡越しに眺めて、エミリーは溜め息を吐く。
エミリーは、自分の髪の色があまり好きじゃない。
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