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廃校となった校舎は、外から見える限りでも窓ガラスは割られ、風雨や埃で汚れている。
工事用フェンスやブルーシート、白いシートで校庭にすら入れないようになっている。
「がっこうに、入れないの?」
娘の言葉に、「危ないから、入れないの」と答える。
「そうなの?残念・・・?!あっ、ママ!あそこ」
娘が指差す方に視線を向ける。
視線の先には、どこかで見かけたことのある姿が、廃校となった校舎に入っていく。
「ママ!入ろう!」
娘の言葉に「あっ!ちょっと待って!」と繋いでいる手を引っ張るが、走り出した娘の手には力が籠る。
娘の強引な力に負けて、久世は20年ぶりに母校に足を踏み入れた。
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