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翌日、俺は広場に向かった。
俺の被害者は子供だから、片っ端から声を掛けて謝るつもりだ。
街の人達は、俺の行動で怖い思いをしたんだ。
俺が好きだからって、あんなグロい見た目のおもちゃを見せるべきではなかった。
今は中身が大人だからそう思えるけど、子供には分からないか。
そこで意地になって、おもちゃを見せ続けたのは完全に俺が悪い。
心を入れ替えて、今後はしないとちゃんと彼らに伝えよう。
許してもらうためなら何でもする、それが俺が今出来る精一杯だ。
広場には人が多く、屋台に呼び込む声や雑談に花を咲かせている女性達。
真ん中にある噴水で遊んでいる子供達がいるのが見えた。
俺もいつも噴水広場で遊んでいた、けど俺と遊んでくれる人は誰もいなかった。
俺が人見知りで、「遊ぼう」と一言言えたら良かった。
そしたらおもちゃなんて見せなくても友達がいたかもしれない。
性格は簡単に直せないが、行動一つでその先が大きく変わる。
些細な事でも、俺の結末に影響してくると分かった。
今なら「遊ぼう」と言えるけど、今言っても手遅れだ。
マイナスから人間関係を0に戻すのはとても難しい。
それでも、俺がした事は俺がどうにかするしかない。
子供達のところに行こうと歩いていたら、俺に気付いた大人が俺に聞こえるくらいの声で話し始めた。
「見て、またあのフォルテよ」
「今日はどんなイタズラをするのかしら」
「本当に嫌ね、うちの子も外で遊ばせられないわ」
「早く何処かに行ってくれない?」
大人達にも歓迎されていない様子で、心が痛くなる。
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