66人が本棚に入れています
本棚に追加
第三者から見ても、俺が怖がらせているように見えたんだろう。
メンタルが強いわけではない俺にはかなりのダメージだ。
大人にはイタズラした記憶はない、俺はおもちゃを見せたかった同じくらいの子達にしかしていない。
でも言われても仕方ないから、言い訳もするべきではない。
子供だけではなく、大人にも改心した事を見せないといけない。
噴水に近付くと、何人かの子達が俺に気付いて顔色を変えた。
さっきまで楽しそうに笑っていたのに、その顔は青ざめて怒りや恐怖に変わっていた。
嫌われているというより、怪物を見たかの反応だ。
俺がいるだけで、噴水広場は小さなパニックになった。
叫んでいる子も泣いている子もいて、俺が謝っても声が聞こえていなかった。
このくらいの言葉だけで許してもらえるとは思っていない。
でも、謝罪から始まるんだ…謝る事も許してくれないなら許される事も出来ないのかな。
怖がらせないように顔が分かるくらい離れているが、まだ怯える声が聞こえる。
これ以上近付くと余計に怖がらせてしまうから、何も出来ない。
それでも、自分でした事を謝るために声を張り上げた。
俺は何も脅かすものは持ってないと、両手を前に出して頭を下げた。
今日で終わらせるつもりはない、通い続けたらいつか話を聞いてくれるかもしれない。
俺は、きっとそうだと信じているから謝り続けた。
酷い事を言われて傷付いても、それ以上に傷付いている人がいる。
俺は諦めず何度目かの謝罪をするために、口を開いた。
その時、なにかが俺の頭にぶつかって視界が激しく揺れた。
なにが起きたのか理解する前に、地面に膝を付いた。
ポタポタと赤い液体が地面を濡らしていて、視界がぐるぐる回る。
あれ?なんだろうコレ、俺から出ているものなのか?
近くに落ちていた石を手に取ると、赤い液体のようなものが付いていた。
俺から出ているものと同じだと思った瞬間、血だと気付いた。
そう気付いたら、頭がズキズキと痛み出して熱っぽくなってきた。
目の前を見ると、周りの子供や大人達が俺に向ける顔は憎悪に満ちていた。
最初のコメントを投稿しよう!