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誰が投げたかは分からないけど、周りの人達の想いは同じという事は分かった。
叫び声とかで、声がかき消えていると思っていた。
でも俺の声は聞こえていても、届いていなかったんだ。
俺がどんなに謝っても、心が少しも動く事はなかった。
余計な事をして、さらに拗れてしまった気さえする。
怖がらせるだけなら、許してもらおうと考える事よりも大人しく家にいた方が良かったのかもしれない。
この謝罪も、届いていなかったら俺の自己満足でしかない。
怖がらせたかったわけではなかったのに、俺は何をしているんだ。
ゆっくりと起き上がると、身体のバランスが上手くいかずによろけた。
ヤバいかもしれない、さっき石が当たったからか眩暈がする。
ここで倒れても、誰も医者を呼んでくれない事は分かる。
自分で家に帰らないといけないから、無理に歩こうとした。
一歩二歩歩いたところで、限界がきて身体が傾いた。
母さんに迷惑掛けてしまう事は嫌だな、傷を見たら余計に…
俺の気持ちを無視して、身体はピクリとも動かなかった。
視界が回る中、硬い地面を想像していたが柔らかい感触がした。
俺の近くには支えるものも、柔らかいものもなかった。
じゃあ、俺は今何処に倒れているんだ?誰か助けてくれた?
いや、あんなに俺を怖がっていたのに助けてくれる人がいるとは思えない。
なにが起きたのかは分からないが、小さな身体が地面に倒れる事はなかった。
花のいい香りが俺を包み込んでくれるようで、リラックス出来た。
このまま目を閉じて眠ってしまいたかったが、二度と目を開ける事が出来なくなりそうで必死に起きようとした。
ぼんやりとした視界の中、誰かがいるのが分かった。
さっきまで俺を見て皆が離れていったのに、この人はなんで俺を助けてくれたんだろう。
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