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あの日、おもちゃを見せたら皆逃げると思っておもちゃはクローゼットに入れて家を出た。
好きな事を隠せば仲良くしてくれると、一番怖い思いさせてしまった子達に会いに行く事にした。
いつもは男二人で遊んでいたから、今日もそうかと思っていた。
そこにいたのは、いつもとは違う三人だった。
今日は見た事がない女の子も一緒にいた、茶髪の腰まで長いロングヘアーの女の子だった。
可愛い子だけど、こんな子近くに住んでいただろうか。
呆然と立つ俺に気付いた子は顔を険しくしていて、俺に「近付くな!」と叫んでいた。
もう一人の男の子はいつも傍観者だから何も言わない。
でも、あまりいい顔をしていないのは分かる。
俺と会った事がない女の子は男の子を落ち着かせていた。
女の子のおかげで少し落ち着いたみたいで、今なら話せると思って口を開いた。
まずは話をしない事には、先に進む事が出来ない。
言葉を発する前に、視界にウネウネと動くなにかが見えた。
蛇だ、湖の近くには多いと聞いた事があるから居ても不思議ではない。
毒はないとは思うけど、噛まれたら痛いのは当然だ。
蛇はゆっくりと女の子に近付いていて、女の子は全く気付いていなかった。
俺なら怖く感じないから、素手で捕まえる事が出来る。
女の子が怖がらないように、気付かれないようにそっと蛇に近付いて手を伸ばした。
女の子は俺の怪しい行動に気付いて、蛇を見つけて悲鳴を上げた。
一瞬だけ蛇を追い払うために目を離して、なにかにぶつかった感触がして彼らの方を向いた。
俺の視界に映るのは、湖に落ちた男の子の姿だった。
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