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「ん…ぅ…」
意識が戻ってきて、木製の天井をジッと見つめていた。
俺、何してたっけ…起き上がると頭が痛くて、その痛みで思い出した。
そうだ、石を投げられて街の真ん中で意識を失ったんだ。
そのおかげと言うのは変だけど、あの時の事を思い出した。
ここは何処かの部屋だろうか、ベッドと小さな本棚と机しかない小さな部屋で、俺の家ではない。
頭に触れると、ズキッと痛みを感じて包帯のようなものが巻かれていた。
誰かが手当てをしてくれたのか、そういえば意識を失う前に誰かがいた。
あの子はいったい誰だったんだろう、顔を見る前に気絶してしまったから分からない。
ベッドから降りようと思って、立ち上がるとバランスを崩して床に膝を付いた。
ドアが開く音が聞こえて、ドアの方を見ると一人の子供が立っていた。
銀色の容器を持っていて、俺に近付いてきて容器を床に置いた。
「まだ横になっていた方がいいですよ」
「…あ、ありがとうございます」
「お礼を言う必要はありません」
金髪のボブヘアーの子供は、感情を見せずに俺を立ち上がらせた。
ベッドに戻されて、銀色の容器を抱えて俺の横に座った。
銀色の容器の中には、包帯や消毒液などが入っていた。
俺の頭に手を伸ばして、包帯がスルスルと解けていく。
慣れた手付きで傷口を消毒していき、痛みで涙目になった。
少年の顔をジッと見つめると、視線に気付いたのか俺の方を見ていた。
見た目は女の子のように可愛いが、男の子なんだと気付いた。
俺の包帯を取るために、俺に触れた時…脳内に変なものが浮かび上がった。
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