66人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋のドアを開けると、真っ白な廊下が続いていて後ろでドアを閉めた。
いろんな扉があり、一つ一つ開けるのは大変そうだ。
何処からか声が聞こえてきて、耳をすますと廊下の奥から声がして導かれるように向かって歩いた。
とある扉の前で足を止めて、扉に耳を付けていると歌声が聞こえた。
俺には彼を探す目的があるが、ちょっとだけ声の人を見てみたかった。
もしかしたら、彼を探すヒントがあるかもしれない…多分。
邪魔をしないようにゆっくりと扉を開けると、明るい日差しに目を細める。
やっと目が慣れてきて、改めて部屋を見ると息を飲んだ。
ステンドグラスの七色が部屋を照らして、幻想的な空間が広がっていた。
この部屋には一人しかいないが、他の人がいてもきっとこの人しか見えないんだろう。
小さなステージのような場所に、その人は立っていた。
スポットライトのように照らされて、透き通った声で歌う少年はまるで天使のようだった。
あまりの人間離れをした美しさに魅入ってしまった。
あれ?俺、何しにここに来たんだっけ…まぁいいか。
動かず、息をするのも忘れていたら少年と目が合った。
口を閉ざしてしまい、残念に思っていたら「入って来ても構いませんよ」と言ってくれた。
扉にしがみついている格好をしていたから、慌てて離れて部屋に入った。
手を軽く叩きながら、少年の近くに向かって歩き出した。
「凄く綺麗な声で、天使がいると思って…」
「そういうのはいいですから、何の用ですか?」
最初のコメントを投稿しよう!