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言われ慣れた言葉なのか、軽くあしらわれてしまった。
感情を見せず、少年は俺を不思議そうに見ていた。
さっき手当てしたから、少年にも俺にも用はないと思っているのは分かる。
俺には用がある、ちゃんと話を聞いてくれる人がいたんだ…伝えないと。
俺は少年に頭を下げて「酷い事をしてごめんなさい」と謝った。
彼も、俺が見せたおもちゃで驚いて怖い思いをした一人だ。
怖くなくても不快には思っていた筈だ。
償わないといけない、俺の精一杯で許してもらえるまで。
少年は小さくため息を吐いていて、ビクッと条件反射で身体が震える。
何を言われても仕方ないのは分かっているけど、傷付かないわけではない。
石を投げられた事は当然だと受け入れていても、心は怖がっていた。
俺の言葉は無意味で、痛みと罵倒が身体中に響いていた。
泣きたくても、泣く権利なんてないんだって言い聞かせて涙を流さないようにしていた。
どんなに心が壊れかけても、これが俺への罰なら受け入れる。
見るだけで嫌ならもう…俺は消えた方がいいのかもしれない。
いるだけで不快に思うのなら、俺は遠くの山に一人で住んでひっそりと暮らす。
いつか来る死亡フラグに怯える生活を送るだろうが、俺の道はそれしかない。
震える肩に触れられてびっくりしたが、顔が上げられない。
「何の謝罪ですか」
「俺が、気持ち悪いおもちゃで怖がらせたから」
「怖がらせようとしたんですか?」
「違っ…」
「貴方の顔を見ていれば分かりますよ、純粋に見てほしいという気持ちは伝わっていますから」
顔を上げると、そこにいた人を見て目を見開いた。
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