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幸いな事に、母さんは専業主婦で外とはあまり交流がない。
祖父母も後ろめたい仕事をしているから、外と交流する事を嫌がっている。
父さんは仕事上、外に出るのは仕方ないから放置しているが、実の娘である母さんには厳しい。
俺も最初の頃は止められていたが、俺が嫌われていると分かった瞬間に自由にさせた。
とにかく、誰かと仲良くなって秘密を知られるのを恐れているんだろう。
俺がカノンと仲良くしていたら、絶対に妨害しそうで嫌だ。
今は別の国で仕事しているからバレる心配がないから良かった。
何をしているのかは、知りたくないし俺には関係ない。
母さんも、今なら自由に出来るのに幼少期からの言いつけをずっと守っている。
転んだら目の前に石があってぶつかったと嘘を付いた。
母さんには心配掛けたくない、この事は墓場まで持っていくつもりだ。
不安そうな母さんと執事に明るく振る舞って、大丈夫だとアピールした。
何も言わない俺に折れたのは二人の方だった。
心配する母さんに教会に通う事になったと伝えた。
何処に行くか分かれば心配する事もないだろう。
今まで神様を信じている素振りがなかったからか、驚いた顔をしていた。
でも、教会に通うと決めたのは本当だ…カノンを見ていると神様はいると信じさせてくれる。
夕飯と風呂を済ませて、部屋に戻った。
包帯は母さんがやってくれて、包帯に触れた。
母さんの話によると、傷口は小さいものみたいだ。
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