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手伝いを断られる事も少なくなり、俺に頼む人もいた。
子供だし、体力がないから大した事は出来ないけど一生懸命頑張った。
「フォルテ」
「あ、カノン!」
いつもの日課になっている広場の掃除をしていたら、カノンに声を掛けられた。
ちゃんと終わらせて、カノンのところに駆け寄った。
当然、教会のお祈りも毎日のようにしてるからカノンとは会っている。
でも掃除の時間もあるから、あまり話す時間がない。
カノンも教会の仕事があるから、掃除をしてから外で会ったのは初めてだった。
カノンは両手いっぱいに果物を抱えていた。
「貰い物だけど、いつも頑張ってるフォルテにお裾分け」と言って、半分分けてくれた。
美味しそうな果物を見ていたら、お腹がぐぅと恥ずかしげもなく鳴った。
俺の顔は羞恥心で真っ赤になった。
そういえば、朝ごはんを家で食べてから掃除に夢中で空腹に気付かなかった。
いつもだから、身体がもうそういうのに慣れてしまっている。
カノンに小さく笑われて、俺も笑って誤魔化した。
俺の行動で変わったのは広場にいる人達だけではない。
カノンもよく笑うようになった。
毎日の会話は短いけど、カノンの事を知る事が出来た。
驚いたのは、華奢な見た目とは裏腹に文武両道なところがある事だ。
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