第一話・転生先は悪役令息

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手伝いを断られる事も少なくなり、俺に頼む人もいた。 子供だし、体力がないから大した事は出来ないけど一生懸命頑張った。 「フォルテ」 「あ、カノン!」 いつもの日課になっている広場の掃除をしていたら、カノンに声を掛けられた。 ちゃんと終わらせて、カノンのところに駆け寄った。 当然、教会のお祈りも毎日のようにしてるからカノンとは会っている。 でも掃除の時間もあるから、あまり話す時間がない。 カノンも教会の仕事があるから、掃除をしてから外で会ったのは初めてだった。 カノンは両手いっぱいに果物を抱えていた。 「貰い物だけど、いつも頑張ってるフォルテにお裾分け」と言って、半分分けてくれた。 美味しそうな果物を見ていたら、お腹がぐぅと恥ずかしげもなく鳴った。 俺の顔は羞恥心で真っ赤になった。 そういえば、朝ごはんを家で食べてから掃除に夢中で空腹に気付かなかった。 いつもだから、身体がもうそういうのに慣れてしまっている。 カノンに小さく笑われて、俺も笑って誤魔化した。 俺の行動で変わったのは広場にいる人達だけではない。 カノンもよく笑うようになった。 毎日の会話は短いけど、カノンの事を知る事が出来た。 驚いたのは、華奢な見た目とは裏腹に文武両道なところがある事だ。
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