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力も俺よりもあり、一人で女神像を掃除しているのは驚いた。
大人でも十人がかりでやりそうなものなのに、カノンは一人で持ち上げていた。
カノンを怒らせたらいろいろと怖そうだ、怒る姿は想像出来ないけど…
筋肉がどうなっているのかは気になったが、触るのは拒絶されてしまった。
そりゃあ男に触られるのは嫌だよな、いくら友達とはいえ。
女性向けゲームの男同士の友情って、どのくらいまでなのか分からない。
リアルでも友達がそんなに多くなかったし、フォルテになって嫌われすぎていて分からなくなっていた。
カノンに嫌われたら、俺の心の拠り所がなくなるから嫌な事はしたくない。
いくら親しくなっても、付かず離れずが男の友情なんだよな。
俺が友情の事を考えると、ミッシェルが脳内で暴れている。
そんなにカノンを友達だと思ってるのが気に入らないのか?
カノンのおかげで今の俺がいるんだから、大切にしたいと思うのは当然だろ。
「教会に行こう、果物を切るよ」
「あー、じゃあ掃除終わってから行くよ」
「うん、待ってる」
ゲームではあり得ない友人関係になっている二人。
これはゲームを変えられると、未来が明るく変わっているんだと希望に満ち溢れていた。
カノンのルートでの俺の死に方も脳内で書いてあった。
そんな二人がこういう未来もあるなんて、誰が想像出来るだろうか。
果物パーティーはいろんな味の果物が味わえて楽しかった。
カノンに「これ甘いよ」と言われて、さっきの青い果物を一口食べた。
食感がサクサクしていて、砂糖をまぶしたように甘い。
日が暮れるまで、二人で話しながらお腹を膨らませていた。
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