第一話・転生先は悪役令息

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力も俺よりもあり、一人で女神像を掃除しているのは驚いた。 大人でも十人がかりでやりそうなものなのに、カノンは一人で持ち上げていた。 カノンを怒らせたらいろいろと怖そうだ、怒る姿は想像出来ないけど… 筋肉がどうなっているのかは気になったが、触るのは拒絶されてしまった。 そりゃあ男に触られるのは嫌だよな、いくら友達とはいえ。 女性向けゲームの男同士の友情って、どのくらいまでなのか分からない。 リアルでも友達がそんなに多くなかったし、フォルテになって嫌われすぎていて分からなくなっていた。 カノンに嫌われたら、俺の心の拠り所がなくなるから嫌な事はしたくない。 いくら親しくなっても、付かず離れずが男の友情なんだよな。 俺が友情の事を考えると、ミッシェルが脳内で暴れている。 そんなにカノンを友達だと思ってるのが気に入らないのか? カノンのおかげで今の俺がいるんだから、大切にしたいと思うのは当然だろ。 「教会に行こう、果物を切るよ」 「あー、じゃあ掃除終わってから行くよ」 「うん、待ってる」 ゲームではあり得ない友人関係になっている二人。 これはゲームを変えられると、未来が明るく変わっているんだと希望に満ち溢れていた。 カノンのルートでの俺の死に方も脳内で書いてあった。 そんな二人がこういう未来もあるなんて、誰が想像出来るだろうか。 果物パーティーはいろんな味の果物が味わえて楽しかった。 カノンに「これ甘いよ」と言われて、さっきの青い果物を一口食べた。 食感がサクサクしていて、砂糖をまぶしたように甘い。 日が暮れるまで、二人で話しながらお腹を膨らませていた。
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