第一話・転生先は悪役令息

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忘れてはいないが、考えないようにしていたのは確かだ。 友情はダメだと言っていたが、大丈夫かもしれないと思っている。 友達になったのはカノンだし、カノンは友達を裏切る性格ではない。 もう長い付き合いだし、ミッシェルはカノンをゲームキャラクターだけだと思っている。 それだけで分からない人柄は絶対にある。 もしカノンに好きな人が出来ても、普通に紹介してくれるだけだ。 カノンの好きな人にちょっかい出すつもりは当然ない。 悪役だと嫌われた俺が感謝されるようになったんだ、変えられる…自分を信じてみよう。 ミッシェルは俺の考えている事が読めるのに、黙っていた。 もしかして、俺の100人友達計画を聞いて何にも言えないのか? 『言い返せないんじゃなくて、呆れてるんだよ』 「何でだよ、脳内に住んでる神様なんだからカノンの事分かってるだろ!」 『住んでるわけないよ、一応君が恋愛してるところを見られるのは恥ずかしいだろうと思って聞いてないんだよ』 「…そうなのか?でも、カノンがいい奴なのは分かるだろ」 『君は何も分かってないね』 終始、俺を馬鹿にしたような声で腹が立つ。 分かっていないのはミッシェルの方だ、カノンはゲームキャラクターじゃなくて生きているんだ。 俺がそう思っていると、ミッシェルは『ゲームもまた彼の姿だよ』と言っていた。 俺がどんなにいい人だと言っても、ゲームで俺を殺したのもまたカノンだと… まだ、俺はカノンを知らないと言っているようだ。 俺よりも、ミッシェルの方がカノンを知っている。 聖職者だからか、ミッシェルの方が近いって言いたいのか? 腹が立つな、カノンはミッシェルの事を一ミリも知らないのに… 『何?嫉妬してる?やっぱり攻略されちゃった?』 「初めての友達を取られたような気分なだけだ!友達攻略の意味ならしてるかもね!」 毎回毎回、なんでそう思うのか分からない。 ミッシェルにしつこく攻略されたのかと言われて、そう見えないようには気をつけているつもりだ。 恋愛感情はない筈だ、カノンといると楽しいし…もしカノンに好きな人が出来ても応援出来る。 友達として一緒に居られるんだし、恋人という気持ちにならなくても構わない。 そういえば、カノンはなんでゲームの俺を殺したんだろう。 カノンが出ているゲームをやった事がないから分からない。 俺の誤解を分かっていて、優しくしてくれた温厚なカノンがどうやって…
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