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カノンにこんな気持ちにさせた自分が許せない。
自分の嫌な気持ちも残っていて、ぐちゃぐちゃな感情になる。
やっぱり、フォルテは好きにはなれないキャラクターだ。
でも、それでも俺はフォルテなんだ…好き嫌いでどうにかなるものではない。
フォルテは一人で、こんな気持ちを抱えていたんだ。
「これが君の未来だよ」
「……誰?」
真っ暗な意識の中、俺に声を掛ける人がいた。
腰まで長い薄い金髪の青年だ。
その人の周りだけ色がある、神々しいオーラをまとっていた。
俺を見下ろしていて、その声には聞き覚えがあった。
もしかして、ミッシェル?
声しか知らないから、半信半疑で恐る恐る聞いてみる。
俺の質問には答えない…それが答えのようだった。
相変わらず俺を無視するところも本人にそっくりだ。
俺の頭の中だから、手のひらを見ようにも俺の姿はないから見えない。
いつもの脳内にミッシェルの姿が追加されたようだ。
神様のように人間離れした美しい容姿だけど、怖くもあった。
いつもの明るい声とは掛け離れたような感情がない顔だからだろうか。
無言で俺を見つめて、その声は冷たく棘のあるものだった。
「君が信じていた友人は君が道を踏み外したら、ためらいなく君を殺す」
「俺は道を踏み外さない、ゲームとは違う結末に変わろうとしているんだ」
「変わらないよ、この世界はゲームと同じ結末を辿るようになっている、君が必死に変えようとしても世界が修正に入る…まだゲームは始まっていないからね」
「ゲームに抗う方法は、フォルテがどのルートでも手に入れる事が出来なかったもの」とミッシェルは呟いた。
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