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俺はゲーム実況者でプレイヤーだった…それでもロボットと変わらない。
そんな俺が唯一抗う事が出来るのが、恋愛という新しい要素だ。
俺に残された最後の希望であり、チートアイテムのようなものだ。
これを手にすれば、俺はきっと幸せになれるのかもしれない。
手のひらをジッと見つめて、決意するように握りしめた。
今は声が聞こえない、いつもはうるさいのに静かなものだ。
ミッシェルに用があるから、口を開いて呼んでみた。
何度目か声を掛けると、脳内にミッシェルの声が響いた。
さっきまで本人が目の前にいたから不思議な気分だ。
やっぱりもうミッシェルは姿を見せてくれないようだ。
『何?そんなに呼び出して』
「カノンと仲直りするにはどうしたらいい?」
『知らないよ、楽に攻略出来ると思わないでね』
ミッシェルは相変わらず、非協力的に言っていた。
でも、あの時とは違って話しやすい声に戻っていた。
面と向かって話すと、あんな感じになる癖でもあるのか?
そしてミッシェルの声は聞こえなくなった。
一分も話していない、もしかしたら30秒くらいだったのかも。
話しやすいとはいえ冷たい、俺を助けてくれるんじゃないのか?
いつもの事だけど、ヒントくらいほしいと思うのはいいだろ。
文句を言ってもミッシェルが神対応してくれるわけがない。
ミッシェルを持ち上げたら、調子に乗ってくれないかな。
「ミッシェル様!その賢い知恵を愚民な私に捧げて下さい!」
『………』
「キャー!カッコいい!眩しい!ミッシェル様!愚民な私に」
『………プッ』
そこからミッシェルの声がまた聞こえなくなった。
今のは声って言っていいのか、笑われたんだけど。
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