第一話・転生先は悪役令息

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俺はゲーム実況者でプレイヤーだった…それでもロボットと変わらない。 そんな俺が唯一抗う事が出来るのが、恋愛という新しい要素だ。 俺に残された最後の希望であり、チートアイテムのようなものだ。 これを手にすれば、俺はきっと幸せになれるのかもしれない。 手のひらをジッと見つめて、決意するように握りしめた。 今は声が聞こえない、いつもはうるさいのに静かなものだ。 ミッシェルに用があるから、口を開いて呼んでみた。 何度目か声を掛けると、脳内にミッシェルの声が響いた。 さっきまで本人が目の前にいたから不思議な気分だ。 やっぱりもうミッシェルは姿を見せてくれないようだ。 『何?そんなに呼び出して』 「カノンと仲直りするにはどうしたらいい?」 『知らないよ、楽に攻略出来ると思わないでね』 ミッシェルは相変わらず、非協力的に言っていた。 でも、あの時とは違って話しやすい声に戻っていた。 面と向かって話すと、あんな感じになる癖でもあるのか? そしてミッシェルの声は聞こえなくなった。 一分も話していない、もしかしたら30秒くらいだったのかも。 話しやすいとはいえ冷たい、俺を助けてくれるんじゃないのか? いつもの事だけど、ヒントくらいほしいと思うのはいいだろ。 文句を言ってもミッシェルが神対応してくれるわけがない。 ミッシェルを持ち上げたら、調子に乗ってくれないかな。 「ミッシェル様!その賢い知恵を愚民な私に捧げて下さい!」 『………』 「キャー!カッコいい!眩しい!ミッシェル様!愚民な私に」 『………プッ』 そこからミッシェルの声がまた聞こえなくなった。 今のは声って言っていいのか、笑われたんだけど。
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