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怒りを静めろ俺、また一人で部屋で怒鳴ると母さんや執事に心配掛けてしまう。
もう二度とミッシェルに褒め言葉は言わない事にした。
俺の考えている事も分かってたら、ミッシェルも企みに気付いていたのかもしれない。
でも、俺の声は口にしないとミッシェルに届かない。
ミッシェルの事だから、俺が困るからわざとやっていると疑ってしまう。
それとも脳内は聞こえないのか、これこそ神のみぞ知るって事か。
どうせ聞いても答えてくれないのは分かりきってるから諦めた。
自分でやらないと攻略は出来ないって事だと思う事にした。
俺が自分で考えて、俺の行動がきっと意味があるんだ。
ただ謝るだけじゃ、カノンは許してくれるかもしれない。
でも、それはカノンの優しさに甘えているだけでそれではダメだ。
俺がした事なら、俺がちゃんとしないと反省してると分からない。
言葉だけではなく、謝罪もちゃんとカタチにしないと。
部屋を飛び出して、厨房に向かうと母さんとメイドさんが夕飯を作っていた。
お腹が空くほどいい匂いがする、これはお肉のスープなのかな。
夕飯を見にきたわけじゃないとすぐに我に返って、母さんのところに行った。
母さんに説明して、頷いてくれた。
カノンのために、手作りのクッキーを作って会いに行こうと考えた。
料理なんて、生前に自炊していた時以外やっていなかった。
クッキーは生前も作った事がなく、この世界の食材は何一つ分からない。
母さんに手伝ってもらいながら粉を混ぜて、生地をこねた。
「食べさせたい相手の事を想いながら作るのよ」
「…想いながら…カノンに食べてもらえますように」
生地を伸ばして、型を手に取る。
どれもハートの形をしている。
ハートのクッキーをいきなり貰ってもカノンは困惑するよな。
腹に入れたら形なんて関係ないか、そのくらいカノンが気にするとは思えないし。
初めてにしてはよく出来たクッキーを見つめて、カノンが喜んでくれたらいいなと歪なクッキーを一つ口に入れた。
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