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なんでそんなにコロコロと表情を変えるのか分からない。
もしかして、カノンとなにか関係があるのか?
シスターさんは、俺を裏口から教会の中に入れてくれた。
カノンの部屋まで案内してもらえる事になった。
俺だからカノンに会うのがダメだったわけではなくて良かった。
今、カノンは原因不明の病で寝込んでいる。
俺の家から帰ってきて、いつも通りにお祈りを捧げていたら倒れたそうだ。
あの時具合悪そうには見えなかったけど、もしかして無理していたのかな。
もっと早くに気付いていれば、倒れる事はなかったのかもしれない。
「カノン様はご友人のお話をいつも楽しそうにしていらしてるんですよ」
「そうだったんですか?」
「あまり、自分の事も他の人の事も話さない方なのでとても嬉しいんです」
「カノン様をこれからもよろしくお願いします」とシスターは微笑んでいた。
俺こそお願いする立場なんだけどな、とシスターさんに頭を下げた。
カノンの部屋の前に来て、シスターさんがドアをノックした。
ここに来るのは最初を合わせて二度目だ。
シスターさんは「カノン様…お身体はいかがですか?」と聞いていた。
ドアが開く事はなく、カノンの声が聞こえた。
聞いた事がないくらい低い声で「放っておいていいから」と聞こえた。
不機嫌そうなカノンの声に、俺に会いたくないんだって思った。
俺の顔を見たくないなら、クッキーだけシスターさんに預けて帰ろう。
本当は面と向かって謝りたいけど、俺のわがままでカノンの嫌がる事はしたくない。
「食事も三食喉に通していないんです、このままでは…」
「俺の、せいかもしれません」
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