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「…え?」
「誰か一緒にいるの?」
俺の言葉にシスターさんは驚いた声を出していて、すぐにカノンの声が聞こえた。
俺はすぐにドアの前に立って、カノンを呼んだ。
シスターさんの話を聞いたら、黙って帰る事は出来ない。
食事をしないと、どんな病でも治らなくなってしまう。
お腹が空いていなくても、なにか食べれるものがある筈だ。
俺の声に反応するように、部屋の中でバタバタと動く音が聞こえた。
物が落ちた音と被さるようにカノンの「痛っ!!」という声が聞こえた。
ドアが勢いよく開いて、シャツにズボンのラフな格好をしているカノンが出てきた。
いつもはきっちりと服を着ている優等生タイプなのに、ボタンが半分開いた状態の姿だった。
今日で、いつもと違うカノンをいろいろ見えて新鮮だった。
「カノン、さっき大丈夫だった?」
「…だい、じょうぶだけど…君は大丈夫なの?昨日…」
「その事について謝りたくて」
「分かった、入って…シスターもありがとう」
「いえ、それでは私は戻ります」
シスターさんは頭を下げて、廊下を歩いていった。
俺はカノンの部屋に入り、持ってきてくれた椅子に座った。
床に本が散乱していて、近くにあった机の上から落としたんだとすぐに分かった。
カノンの足がフラフラとしていて、ベッドに座り込んだ。
シスターが病気だと言っていた、食べる事も出来ないほどに辛いんだな。
俺はせっかくカノンが椅子を用意してくれたけど、カノンの隣に座った。
一瞬だけ、驚いた顔をしていたけどすぐに「いいの?」と小さく呟いていた。
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