第一話・転生先は悪役令息

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「…え?」 「誰か一緒にいるの?」 俺の言葉にシスターさんは驚いた声を出していて、すぐにカノンの声が聞こえた。 俺はすぐにドアの前に立って、カノンを呼んだ。 シスターさんの話を聞いたら、黙って帰る事は出来ない。 食事をしないと、どんな病でも治らなくなってしまう。 お腹が空いていなくても、なにか食べれるものがある筈だ。 俺の声に反応するように、部屋の中でバタバタと動く音が聞こえた。 物が落ちた音と被さるようにカノンの「痛っ!!」という声が聞こえた。 ドアが勢いよく開いて、シャツにズボンのラフな格好をしているカノンが出てきた。 いつもはきっちりと服を着ている優等生タイプなのに、ボタンが半分開いた状態の姿だった。 今日で、いつもと違うカノンをいろいろ見えて新鮮だった。 「カノン、さっき大丈夫だった?」 「…だい、じょうぶだけど…君は大丈夫なの?昨日…」 「その事について謝りたくて」 「分かった、入って…シスターもありがとう」 「いえ、それでは私は戻ります」 シスターさんは頭を下げて、廊下を歩いていった。 俺はカノンの部屋に入り、持ってきてくれた椅子に座った。 床に本が散乱していて、近くにあった机の上から落としたんだとすぐに分かった。 カノンの足がフラフラとしていて、ベッドに座り込んだ。 シスターが病気だと言っていた、食べる事も出来ないほどに辛いんだな。 俺はせっかくカノンが椅子を用意してくれたけど、カノンの隣に座った。 一瞬だけ、驚いた顔をしていたけどすぐに「いいの?」と小さく呟いていた。
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