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*フォルテ視点*
街から少し離れた孤島にその学院はある。
15歳になり、初めて船に乗って学院に向かっています。
全寮制だから通う不安はないが、街から離れるのは緊張するものがある。
大きな船が入学生達を乗せて孤島に近付いていく。
俺は船酔いで、景色を見る余裕がなくて意識が飛ぶほど苦しい。
カノンに背中をさすってもらって、少し楽になった。
早く着かないかなぁと、ボーッと目の前を見つめる。
余裕になってから周りの声も聞こえてきて、俺を笑いながら通り過ぎる人達がいた。
苦笑いするしかない、俺の悪名は何処まで広がっているんだろう。
「苦しんでいる人を見て、なにがそんなに楽しいのか」
「はは、俺が悪いから」
「フォルテは自分の好きなものを見せただけだよ」
「俺が好きでも、他の人は違うから……ありがとう、カノン」
カノンの優しさに酔いも感じなくなり、景色を見る余裕が出来た。
城のような外観の学校だとは知っていたが、ここまで実物に迫力があるとは思わなかった。
国のシンボルでもある城と同じような大きさで、周りの新入生達も騒いでいた。
浜辺に到着して一人一人島に降りていき、俺とカノンも荷物が詰まっているバッグを抱えて降りた。
浜辺から学校までは時間が掛かるが、歩けない距離ではない。
これは修行だと思えばなんて事はない、ちょっと体力がなさすぎるから鍛えないといけないとは思っていた。
息を切らしながら一歩一歩確実に進んでいくが、どんどん周りの人に追い越されていく。
少しペースを早めないと、到着する頃には日が暮れてしまう。
「そんなに重いって、何を持ってきたの?」
「服と日用品だけ、だよ…」
「持とうか?」
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