第ニ話・学院で因縁ハプニング

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カノンの言葉は嬉しいけど、この程度でへばっていたら数々の死亡フラグを回避出来ない! 最終的に、悪魔族を蹴散らせるくらいの力は必要だ。 脳内でミッシェルが『攻略キャラクターだけどね』と言っていたが、無視をした。 カノンの方を見ると、片手で軽々と荷物を持っていた。 俺より軽いのかもしれない、カノンの事だ…きっと計算されているんだろう。 バッグを地面に置いて、カノンに荷物を持たせてほしいとお願いした。 大丈夫かと心配されたが、俺は大丈夫だと自信を持っていた。 カノンの華奢な見た目で、すっかり忘れていたんだ。 聖母像を軽々しく持ち上げるほど、カノンは怪力だという事を… 荷物に押しつぶされて動けなくなり、カノンに助けられた。 俺の二倍以上の重さがあり、何を入れたのか気になった。 差し伸ばされた手を握り、引き上げられて立ち上がる。 カノンになにが入ってるのか聞くと「お祈りの道具と、後はフォルテと同じだよ」と言っていた。 同じくらいならお祈りの道具が重いのか、なにがあるんだろう。 カノンの荷物をジッと見ていたらカノンは小さく笑っていた。 まさか、聖母像を持ってきているわけじゃないよな。 大きさ的にあり得ないけど、重りをわざと持ってきて鍛えているのかと疑いたくなる。 「そんなに気になるなら後で見せようか?」 「いいのか!?」 「フォルテのためならいいよ」 「……フォルテ?」 俺とカノン以外の人は、皆そのまま学校を目指して行っていた。 第三者の俺を呼ぶ声に反応して、後ろを振り返った。 俺達が来た道には、雰囲気が異なる二人の少年が立っていた。 耳にピアスを多く付いていて、制服のボタンを三つ開けていてネックレスを付けた金髪の目付きが悪い少年。 ゴーグルを付けていて、背中に四角い金属のものを背負っている茶髪の笑みを浮かべている少年。 目付きの悪い少年は、静かに俺を睨みつけていた。 俺はこの二人に見覚えがある、ゲームで出てきた人達だ。 そして、俺がずっと心に残っている一番会いたい人でもあった。 「ユリウス…」 「チッ、二度と会いたくない奴に会った」 「こんだけ広い学院だと会わないだろうとは思ってたけど、まさかこんなところで会うとはねぇ」 目付きの悪い少年ユリウスは、吐き捨てるようにそう言った。 あの時の湖での事をちゃんと話して誤解を解かないと… 俺がユリウスに近付こうとしたら、カノンに肩を掴まれて止められた。 焦る気持ちを落ち着かせて、ユリウスの方をまっすぐと見つめた。
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