第ニ話・学院で因縁ハプニング

7/64
前へ
/117ページ
次へ
ユリウスが俺を恨んでいるのは、俺がわざと蛇で驚かせたと思っている事だ。 あれは驚かせるつもりでも、蛇を持ってきたわけではない。 蛇を追い払おうとした結果、そう見えてしまった。 あの時、声を上げて知らせたら蛇も興奮して襲われていたかもしれない。 もしあの時生前を思い出したとしても、誤解されても俺は同じ行動をした。 湖に落ちた事は俺の不注意だ、それは誤解でも何でもない。 俺の視界に映ったユリウスの身体が傾いて、腕を伸ばしたけど間に合わなかった。 俺は忘れた日なんてなかった、それもまとめてユリウスに謝りたい。 攻略キャラクターだからとかではなく、俺はユリウスと向き合いたい。 「ごめんなさい、あの時は驚かせて…」 「……」 「蛇がいたとはいえ、勘違いされるような事をしてしまった」 「……蛇?」 ユリウスは小さくそう呟いて、俺への嫌悪感を強めた。 言葉に詰まりそうなほどの圧だったが、声を振り絞って「信じてもらえないかもしれないけど、俺は蛇を…」と口にした。 その瞬間、ユリウスは横にあった木を思いっきり殴りつけた。 大きく揺れた木は、葉を何枚も地面に落としていく。 「お前、何も覚えてないんだな」 「覚えてるよ、俺がユリウス達の足元にいる蛇追い払おうとして」 「お前が俺を湖に突き落としたんだろ!!」 ユリウスの言葉に、俺は何も言う事が出来なかった。 湖に突き落とした、ユリウスはいったい何の話をしているんだ。 俺はユリウスを突き落としていない、だってあの時ぶつかってきたのはユリウスの方だ。 俺が驚かしたせいで、湖に落ちたと怒るなら分かる。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加