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ユリウスが俺を恨んでいるのは、俺がわざと蛇で驚かせたと思っている事だ。
あれは驚かせるつもりでも、蛇を持ってきたわけではない。
蛇を追い払おうとした結果、そう見えてしまった。
あの時、声を上げて知らせたら蛇も興奮して襲われていたかもしれない。
もしあの時生前を思い出したとしても、誤解されても俺は同じ行動をした。
湖に落ちた事は俺の不注意だ、それは誤解でも何でもない。
俺の視界に映ったユリウスの身体が傾いて、腕を伸ばしたけど間に合わなかった。
俺は忘れた日なんてなかった、それもまとめてユリウスに謝りたい。
攻略キャラクターだからとかではなく、俺はユリウスと向き合いたい。
「ごめんなさい、あの時は驚かせて…」
「……」
「蛇がいたとはいえ、勘違いされるような事をしてしまった」
「……蛇?」
ユリウスは小さくそう呟いて、俺への嫌悪感を強めた。
言葉に詰まりそうなほどの圧だったが、声を振り絞って「信じてもらえないかもしれないけど、俺は蛇を…」と口にした。
その瞬間、ユリウスは横にあった木を思いっきり殴りつけた。
大きく揺れた木は、葉を何枚も地面に落としていく。
「お前、何も覚えてないんだな」
「覚えてるよ、俺がユリウス達の足元にいる蛇追い払おうとして」
「お前が俺を湖に突き落としたんだろ!!」
ユリウスの言葉に、俺は何も言う事が出来なかった。
湖に突き落とした、ユリウスはいったい何の話をしているんだ。
俺はユリウスを突き落としていない、だってあの時ぶつかってきたのはユリウスの方だ。
俺が驚かしたせいで、湖に落ちたと怒るなら分かる。
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