第ニ話・学院で因縁ハプニング

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でも、俺はユリウスをわざと突き落としていない。 記憶を完全に思い出したから、間違って覚えている筈がない。 俺にとって、心に深く残っている記憶だ…その記憶に偽りはない。 ユリウスはとんでもない誤解をしている、あの時俺はユリウスを助けようと手を伸ばしていたんだ。 それが突き落としたように見えたのかもしれないが、なんか変だ。 俺が一瞬蛇に気を取られた時、いったいなにがあったんだ。 「俺は突き落としてない!」 「じゃあ誰がやったんだよ!」 「…それは、俺にぶつかってきて」 「そんな言い訳で俺が納得すると思ってるのか、バカにしてるのか?」 「違う!本当に俺じゃ…」 ユリウスが舌打ちして、俺の方に向かって歩いてきた。 そのまま俺の胸ぐらを掴もうと、腕を伸ばしてきた。 俺自身もよく分からない状態で、ユリウスに殴られると思い目を強く瞑った。 逃げる事は考えていなかった、誤解を解くまで逃げたくない。 寸前でカノンがユリウスの腕を掴んで、俺まで届かなかった。 ユリウスはカノンの存在に今気付いたのか、カノンを睨んでいた。 助けてくれたカノンにまでユリウスの怒りが向いたら大変だ。 「この人は関係ないから!」と言おうとしたが、カノンはもう片方の指を自分の唇に当てていた。 なにか考えがあるのかもしれないと、口を閉ざした。 「その話は後にして、もう誰もいないけど遅刻するよ」 そういえば、浜辺の方向にはもう人はいなかった。 話し始めた時から、最後の方だったけど人は見えていた。 時計がないから、話に夢中で日が暮れたら大変だ。
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