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机に伏して眠っているみたいで、よく見ると見覚えがあるピアスが見える。
ユリウスも同じクラスだったんだ、気持ち良さそうに寝息を立てている。
ユリウスが同じクラスなら、いつでも誤解を解ける。
起こすのは可哀想だから後ろから見つめるだけにする。
うなされているような気がするのは気のせいなのかな。
担任が入ってきて、ユリウスがのそのそと起き上がった。
この学院は基本的に普通の学校と変わらない授業だ。
変わってるものとしては、選択授業に武術や剣術やその他物騒な授業があるくらいだ。
俺は平和的な知識の授業にした、知識はあっても損はない。
何の知識なのかは分からない、もしかしたら一生使わない知識なのかもしれない。
ユリウスは剣を扱うから剣術の授業なんだろうな。
確かゲームでフォルテは、ユリウスに切り付けられて死んだっけ。
もはやミッシェルのプロフィールがいらないほど、ユリウスについて分かっていた。
キャラクターの中で俺を一番憎んでいたからな。
その理由までは覚えていなかったけど、俺に突き飛ばされた記憶があったからなんだな。
今日はこれから講堂に向かって、入学式がある。
ユリウスは俺の視線に気付いて、こちらを振り返った。
睨みつけるだけで人を殺せそうな殺意のオーラが凄かった。
隣の席の生徒なんて、怖くて震えてしまっている。
俺はユリウスに「よろしく」とだけ伝えると、無視して前を向いてしまった。
今ここで乱闘騒ぎにならないだけマシだと思っておこう。
俺も隣の生徒みたいに怖くて仕方ないけど、あの時のユリウスも怖かったんだよな。
湖に落とされて、不安で泣きそうな顔をしていた。
俺が突き落としたわけではないが、きっかけは俺だ。
ユリウスの背中に向けて、蛇の事を謝ったが反応はなかった。
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