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頬が熱くてジンジンと痛い、ユリウスに殴られたんだとすぐに分かった。
ポタポタと地面に広がる真っ赤なシミを作っていく。
後ろからユリウスが「お前のせいで、俺は……殺してやる!」とさっきとは比べ物にならないくらいの殺意と敵意を向けられた。
俺の周りの人達とは明らかに殺意のレベルが違った。
今のユリウスは剣を持っていないから幸い、フォルテの殺し方ではない。
学院では、授業以外の武器の使用は禁止になっている。
ここで死ぬ事はないだろうけど、切れた口内が痛い。
そういえば、ユリウスに殴られた時に触れられてプロフィールが俺の脳内に出現した筈だ。
ゲームを覚えているから見る必要はないが、とりあえずミッシェルが出したプロフィールを見た。
そこには目を疑うような文字が書かれていて、思わず声が出た。
「撲殺…なんで…」
ユリウスは剣で俺を倒した筈なのに、プロフィールには撲殺と書いてあった。
確かに学院では武器の持ち込みや使用は禁止だけど、そんな事あり得るのか?
もしかして、俺の状況に合わせてプロフィールが変わるのか?
ユリウスが近付く気配を感じて、考えている暇はなく走り出した。
これは、本当に殺されるかもしれないと恐怖を感じた。
俺のした事に対しては逃げないが、真相が分からないままは嫌だ。
自己犠牲をするつもりはないから、ユリウスには悪いけど殺されるわけにはいかない。
とりあえず今は何処かに逃げよう、頭に血が上っているユリウスに何を言っても聞かない気がする。
校舎に行けばまだ残っている人がいる筈で、ユリウスは見た目の不良とは違い常識人だった。
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