第ニ話・学院で因縁ハプニング

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今は俺への憎しみに囚われて常識が欠落してしまっている。 誰かがいればきっとユリウスも冷静になってくれる筈だ。 ゲームでは面倒くさがりキャラだったのに、俺より体力がある。 ユリウスが立っている横を通り過ぎるわけにもいかず、講堂を一周回って校舎に行くからかなりの距離を走る事になる。 このままだと校舎に行く前に追いつかれてしまう。 気が逸れる話題、なにかないだろうか…少しだけでいい。 「ユリウス!本当に俺じゃないんだって!あの時あった事一緒に考えよう!」 「うるさい!お前のせいで俺がどんな日々を送ったか……俺と同じ目に遭って湖に溺れて死ね!それか殴られて死ね!」 「ユリウスは溺れてないじゃん!」 浅い底の湖だから、小さな子供でも顔は出るから溺れない。 ユリウスは溺れていなかったが、突き飛ばされたらそのくらい怖い思いをしたのかもしれない。 俺が突き飛ばしたわけではないが、心が苦しくなった。 ユリウスの視界が外れて、近くにあった建物に身を隠す事にした。 閉まっていたら終わっていたが、扉はすんなりと開いた。 薄暗くてよく見えないが、物が散乱しているのは分かる。 倉庫のようで、物を掻き分けて奥に向かって進む。 その時、物に足が引っ掛かり大きな音を立てて俺の上に倒れた。 重くて押し潰されそうだったが、足音が近付いてきたから物を退かす手を止めた。 倉庫の扉を止めて、ユリウスが入ってくる気配がした。 あんなにピリピリした殺気を放っていたら、見なくても分かる。 俺はなるべく息を潜めて、動かないように気配を消した。 俺は動いていないのに、物がガタガタと動いてびっくりして動きそうになる。 心臓のうるさい鼓動だけで、気付かれてしまいそうになる。 積み上げられた物の中から手が出てきて、誰かが這い出てくるところはホラーでしかない。 叫びそうになってしまい、慌てて両手で口を塞いだ。 あれ、このゲームってホラーゲームだったんだっけ。 狭く静かな倉庫の中で、ユリウスの息遣いと声が響いた。
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