第ニ話・学院で因縁ハプニング

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「ここにフォルテは来なかったか」 「フォルテ?知らないよ」 「…そうか、邪魔したな」 短い会話は終わり、ユリウスが倉庫の扉を閉めて再び暗い空間になる。 ユリウスの足音が聞こえなくなったところで、背中に積み重なった物を退かす。 とりあえず、今日は生き延びる事が出来て良かった。 長くはなかったが腰が痛くて、思いっきり背伸びをした。 上にあったものを一つだけ手に取ったが、金属のひょうたんみたいなものが見えて使い道が分からなかった。 そういえば、ユリウスと会話をしている誰かがいた。 その人がいたおかげで、俺の事を探されずに済んだ。 薄暗くて何処にいるのか分からないが、助けてくれた人に「ありがとうございます」とお礼を言った。 その人は、俺の言葉を聞いているのかいないのか倉庫の中でなにかを探していた。 大きな音を立てて真剣だったから、俺は邪魔しない方がいいよな。 そーっと倉庫から出ようとしたら、その人は大きい声を出していた。 びっくりして、物につまずいてまた派手に転んだ。 ちょっと足を挫いてしまって、ズキズキと痛みが走る。 「あった!これだよこれ、最高級品のパーツ」 「…いてて」 「それで、なんで君ここにいるの?」 今気付いたのか、不思議そうな声が聞こえてきた。 よく見てみたら、両手にガラクタを抱えたユリウスの幼馴染みであるラウルが俺を見ていた。 なるほど、ラウルだからユリウスが簡単に信じたのか。 こんなところで何をしているのか分からなかった。 俺を無意識で助けたような感じになったが、ラウルは今俺がいるのに気付いた様子だった。
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