66人が本棚に入れています
本棚に追加
ラウルはユリウスの親友だ、もしかしたら引き渡される危険もある。
警戒して何も言わない俺にラウルの顔が不審そうに変わり、慌てて説明をした。
企みもない怪しいものじゃない事は分かってもらいたい。
「へぇー」「ふーん」という聞いているのかいないのか分からない気の抜けた声を出していた。
さすがユリウスの幼馴染みだ、ユリウスが人を殺すと言っても全く動じてない。
それどころか、ユリウスの俺に抱く憎悪に仕方ないと言いたげな顔をしていた。
ラウルはずっとユリウスと一緒にいるから、俺よりも理解しているんだろう。
未来の事は俺の方が分かるが、今大事なのは過去のユリウスだ。
ゲームで語られていないユリウスはラウルの方が分かっている。
ユリウスをどうにかしたいけど、それよりも俺はラウルにも話があるんだ。
それが、ユリウスの事故の真相を知る事と繋がっている。
なにかヒントがあれば、ユリウスを誰が突き飛ばしたか分かる。
「君に聞きたい事があるんだ!」
「何?言っておくけどユリウスを止めるのは僕でも無理だから」
「ユリウスが湖にいた時、君もいたよね!」
俺の言葉にキョトンとした顔をしていて、ラウルは首を傾げていた。
ラウルがユリウスのあの殺気を止められるとは思っていない。
ゲームでも武力派ではなく頭脳派の機械オタクだったからね。
頷くまで、少しの時間が掛かったが頷いてくれたところで話を続けた。
ユリウスが誰かに突き飛ばされたのを見ていないか聞いた。
ユリウスに真相を話していないなら、知っているとは思えないがとりあえず聞いてみた。
何でもいい、なにか違和感があった筈なんだ…じゃないとユリウスは湖に落ちない。
ラウルの答えは知らないと思っていただけに、ラウルの言葉に驚いた。
「見てたよ」
「えっ!?だ、誰だった!?」
「君」
「俺は突き落としてない!」
ラウルが俺を指差して、そんな事を言うから声を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!