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翌日、外出許可と船のチケットを寮長さんからもらい船で孤島から離れた。
孤島を出る時、手続きが多すぎて頭が回りそうだった。
カノンも初めての筈なのに、慣れた様子でテキパキと書類を書いていた。
教えてもらいながら何とか終わり、昼過ぎになってしまった。
船の到着の間の暇潰しだと思っていいからと寮長さんは言っていたが、船を待たす結果になってしまった。
船を降りる時、フラフラとカノンに支えられて歩く。
船酔いって、どうしたら治るんだろうか…帰る度にこれだと身が持たない。
そういえば、寮長の顔が変な人を見る顔だったな。
俺達が一日でホームシックになって、帰りたがっていると思われたのかもしれない。
いくら次の日が休日でも、普通はすぐに帰る人は少ない。
俺だって、初めての休日は島を探索とかしてみたい。
でも、家に帰るために帰ってきたわけではないんだ。
カノンと一緒にある場所に向かうために帰ってきた。
街並みは今のままだけど、昔にタイムスリップした気分になる。
俺達は記憶を思い出しながら進むと、湖が見えてきた。
やっと船酔いも落ち着いてきて、カノンから離れる。
太陽の光に反射して、キラキラと湖が光り輝いていた。
奥にいくとだんだん深くなっていくけど、ユリウスが落ちたのは一番浅いところだった。
小さな子供が転んだとしても、身体の半分下しか濡れない。
15歳になった今の俺が立った状態なら、足首くらいだろうか。
「ここがあの湖?」
「うん、カノンに再現の協力をしてほしいんだ」
ここに来たのは、俺とユリウスが拗れた原因を探るためだ。
再現すればあの時、どうやってユリウスが落ちたか分かるかもしれない。
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