第ニ話・学院で因縁ハプニング

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「えっ…あぁ、ここの地面は水を含んでるから滑りやすいんだよ、びっくりさせてごめんね」 カノンは「怪我がなくて良かった」とホッとした顔をしている。 俺達がいたところの地面は大丈夫だが、湖に濡れた地面は滑りやすくなっている。 雨の日や翌日とかは全部が濡れているから危ない。 でもあの日は関係なくて、足元も普通に乾いた地面だった。 だから俺のように滑って転んだとは考えられない。 カノンは俺の方を向いていたが、すぐに顔を逸らされた。 勢いよく転んだから全身ずぶ濡れで、見るに堪えないよな…ごめん。 「家に帰って着替えた方がいい」 「そうする、でもまだ原因が分からないからもう少しやるよ」 「でも、湖に近付くのは危ない」 「いや、ユリウスは湖に落ちたから俺も湖に落ちないと…もう少し付き合ってくれるか?」 「……分かった」 他の方法がないか考えて、もう一度カノンに立ってもらう。 カノンはなにか言おうとしたが、再現を止める事はなかった。 この再現は俺にとって生死が決まる問題だ。 不自然な事がないか、よく見ておかないとな。 今一番あり得るのが、見知らぬ第三者がいたという事くらいだ。 でもそれはただの妄想で、いたかも分からない人物だ。 再現のために俺が驚いた演技をしようとしたら、カノンに腕を掴まれた。 その時に、近くの草むらがガサガサと動いた。 「バァ!」 「ぎゃあぁ!!!」 「フォルテ!?」 突然人が草むらから顔を出していて、びっくりして心臓が止まるかと思った。 カノンに支えられて、頭を地面にぶつけずに済んで良かった。 草むらからケラケラ笑って出てきた人に、なんでこんなところにいるのか不思議だ。 ラウルはなんでここにいるんだ?しかも、いつからいたんだ。 俺達は朝早くの船で来たけど、ラウルもそこにいたのか? 脅かすように隠れてないで普通に出てくればいいのに… ラウルは「水遊び?」と言っているから、全力で否定した。 ラウルもなんで俺達がここにいるのか薄々気付いているんじゃないのか?
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