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「再現してるんだよ、あの時の」
「へぇ、じゃあ僕もやるー」
「協力してくれるのか?」
「暇だから」
ラウルは笑っているが、どんな理由であれ人が多い方が再現出来る。
じゃあラウルは誰の役をやってもらおうか、考えていたら地面にしゃがんでいた。
地面を眺めて微動だにしないラウルに「何してるんだ?」と聞いたら「地面の草を見てる」と答えていた。
ラウルはラウル役で、幼少期の再現をしていた。
ラウルもいたからラウル役をやるのは当たり前か。
俺はまたユリウスの役をやろうと思って、ずっとカノンに腕を掴まれていた事を思い出した。
カノンは、別の役をやった方がいいと言っていた。
確かに他の目線から考えるのは大切だけど、ラウルを見ても地面を見つめるだけだ。
でも、ユリウスと俺の問題だし…他に誰かいただろうか。
「確か、もう一人女の子がいたよね」
「うん…でも、スピカは怖がってただけだからユリウスとは関係ないよ」
「怖がって彼に寄り添ったの?」
「えっ、そうだけど」
「なら、彼女の行動も考えるべきだ」
スピカはユリウスに寄り添って怖がっていたけど、それだけだ。
そもそもスピカはゲームでもか弱い女の子で、ユリウスを突き飛ばす力はない。
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