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それをする理由もないから、勝手に除外していた。
確かにカノンの言う通り、スピカも試してみるか。
俺は動いていなかったから、俺の役はやらなくていいか。
じゃあどっちがスピカの役か考えていたら、カノンが俺の方に身体を寄せていた。
いきなりで、ちょっとドキッとして心臓が跳ねた。
カノンの髪からいいにおいがする、いや…何考えてるんだ俺は…
その瞬間、俺の身体がよろけて湖の中に沈んでいた。
湖から顔を上げると、嬉しそうなラウルの声が聞こえた。
後ろを振り返ると、ラウルはなにか灰色のものを持って喜んでいた。
あれってなんだ?見た目はカタツムリみたいだけど、手のひらサイズなんてデカすぎないか?
カノンは俺に手を差し伸ばしてきて、申し訳なさそうにしていた。
「ごめん、怪我はない?」
「カノン、どうやったの?」
「ただ寄り添うだけのつもりだったけど、足が思うように力が入らなくて」
滑ったのか?でもカノンの位置だと地面が湖で濡れる事はない。
昨日もその前も雨は降っていなかったから濡れるわけがない。
カノンに引っ張られて、下の方を見ていたから俺もそちらを見た。
地面にはいくつもの浅い穴が出来ていた。
何だこれ、最初に湖に落ちた時はこんなものはなかった。
穴の周りを見てみたら、近くにラウルしかいなかった。
ラウルの手は土で汚れていて、穴を掘った犯人が誰か分かった。
こんなところで何をしているのか、再現ではないのか?
ラウルに近付くと、俺達に気付いて笑って灰色のものを見せてきた。
中がもぞもぞ動いていて、虫の足が出てきて悲鳴を上げた。
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